- トップページ
- 外来のご案内 NIPT

新型出生前検査 NIPT
NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは
NIPTは、妊婦さんの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片を分析することで、赤ちゃんが染色体疾患を持つ可能性を危険を伴わずに調べることができる 新型出生前検査です。
妊婦さんの腕から約10ml採血した血液を使う検査なので、妊婦さんにも赤ちゃんにも安心・安全な検査として大変注目されています。
NIPTは、妊婦さんが安全で健やかな妊娠期間を過ごすために大切な検査とも言えます。
当院は日本医学会認証の連携施設です。
あらきクリニックは、日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会によって2022年9月に認証された「NIPTを実施する医療機関(連携施設)です。
同運営委員会が提示している指針※1に基づいて実施しています。
NIPTをお考えの方はご相談ください。
※1「NIPT等の出生前検査に関する情報提供および施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」
NIPTでは、次の3つの疾患を調べることができます。
・21トリソミー【ダウン症候群】
・18トリソミー【エドワーズ症候群】
・13トリソミー【パトウ症候群】
この3つを合計すると、胎児の染色体疾患の約7割に相当します。
本検査では、上記3つ以外の疾患は報告されません。
3つのトリソミー(21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー)について紹介します。
21トリソミー
21トリソミー【ダウン症】は、21番の染色体が1本多いことで起こり、出産時の母体年齢が20歳ではおよそ2,000人に1人、40歳ではおよそ100人に1人と、 妊婦さんの年齢が高くなるにつれて出生率が高くなるのが特徴で、偶発的に起こることがほとんどです。
特徴としては、筋肉の緊張度が低く、知的発達は個人差があり、言葉の発達はゆっくりです。
心疾患などを伴うことも多くありますが、医療・療育・教育が進み、最近ではほとんどの人が支援クラスを利用しながら地元の学校あるいは特別支援学校に通い、 就職されたり様々な分野で社会生活を送っています。
現在の平均的な寿命は、50~60代です。
<支援サイト>
18トリソミー
18トリソミー【エドワーズ症候群】は、細胞分裂が正しく行われないなどの理由で、赤ちゃんの18番染色体が3本となってしまうことで起こります。
約6,000人に1人の割合で確認されており女児の割合が60%とやや多く占めています。
主な症状としては、胎児期からの成長障がい、出生時低身長であったり、小頭症などの背身体的特徴、重度の先天性心疾患、呼吸器・消火器・泌尿器・筋肉や骨格などに
関する合併症、難聴や悪性腫瘍など多岐に渡ります。18トリソミーの赤ちゃんは、その約60%が子宮内で亡くなり、出生後1カ月で約半数が亡くなり、心臓に関連した
合併症が原因で、寿命(生命予後)が短いケースが多いと考えられている非常に重篤な疾患ですが、最近では新生児集中治療や心臓手術などの治療を行うことにより10歳
を超えて元気な方もいらっしゃいます。
<支援サイト>
13トリソミー
13トリソミー【パトウ症候群】は、13番染色体が余分に複製されることが原因で起こります。
特徴としては、発育不全、身体的様々な特徴、中枢神経系に関する合併症、先天的心疾患などがおこり、病気の程度には個人差がとてもあります。多くは妊娠初期から
中期にお腹の中で亡くなってしまい、生まれるまで頑張ることのできる13トリソミーの赤ちゃんは稀です。
80%以上が重篤な先天性心疾患を合併するとされ、内臓合併症の程度によりますが、1年生存率約10%と生まれてからも長生きすることは難しいです。
<支援サイト>
染色体が原因となる生まれつきの変化を含め、赤ちゃんが先天性疾患を持つ事は誰にでも起こり得る事で、それは誰もが持つ人としての多様性、その人の個性の一部として
受け入れられるものです。障がいには先天的なものもありますが、生後に起こる障がいもあり、私達すべてがいつかはなんらかの障害を持って生活する可能性があると言え
ます。
どのような境遇にあろうと、全ての人が共に生きる社会の一員であり、お互いを認め合い、助け合う社会を実現する為に行政による公的福祉サービスが用意されています。
様々な事情により、生むことをあきらめる選択をする方もいらっしゃいますが、その選択も尊重されるものです。妊娠の継続や中断については、経験者などによる、
ピアサポートを行う団体もございます。
<支援サイト>
〇親子の未来を支える会
〇胎児ホットライン
NIPTの特徴
*NIPTは採血検査ができるため、流産などのリスクがなく安全な検査であることが特徴です。
確定検査の流産リスクは、羊水検査0.3%・絨毛検査0.1%です。
*本検査の陽性的中率(検査が陽性とでた場合、実際染色体疾患が見られる率)は約80~95%です。精度が高く、赤ちゃんの染色体疾患をより正確に発見することができます。
*妊娠の早い時期(妊娠10週以降)から検査可能で、赤ちゃんの状態を早く知りたいと思う妊婦さんにとっては、よりよい選択肢となります。
NIPTの検査対象となる方々
*検査対象は、検査希望があり以下のいずれかに該当する方です。
妊婦さんおよびパートナーの方とお二人でお決め頂きます。
- 妊娠10週から13週6日まで
- 高年齢の妊婦さん
- 母体血清マーカー検査で、赤ちゃんが染色体疾患(ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミー)を有する可能性が指摘された妊婦さん
- 染色体疾患を有する赤ちゃんを妊娠した既往がある
- 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有しており、赤ちゃんが13トリソミーまたは21トリソミーとなる可能性が示唆された
- 胎児超音波検査で、赤ちゃんが染色体疾患を有する可能性が示唆された
ただし、対象疾患の発生頻度によらず、適切な遺伝カウンセリングを実施しても赤ちゃんの染色体疾患に対する不安が解消されない妊婦さんについては、 十分な情報提供や支援を行った上で検査に関する本人の意思決定が尊重されます。
NIPTの判定結果
検査結果は「陰性」「陽性」「判定保留」で判定されます。
「判定保留」とは陰性でも陽性でもないという結果で、採血した血液中の赤ちゃんのDNA断片が少ないなどの理由で検査結果が出ない場合に起こります。
検査結果が判定保留の場合は、再検査を行います。(再検査の費用はかかりません)
NIPTの注意点
*NIPTは精度が高い検査ですが、確定検査ではありません。
妊婦さんの血液中に浮遊しているDNA断片のうち約10%が赤ちゃん由来ですが、多くは胎盤に由来します。そのため、NIPTは精度の高い検査で可能性
の高さを判定する検査といえます。
*NIPTで「陽性」と判定されても、後の確定検査によって正常が確認される「偽陽性」もある得ます。
「陽性」または「判定保留」が続いた場合には、羊水検査を受ける必要があります。
羊水検査では、羊水を採取することにより、胎児の染色体疾患や遺伝子疾患を診断することができます。
羊水を採取するために針による穿刺から、流産の危険はゼロではありません。
NIPTの専門医によるカウンセリング
当院は日本医学会認証の連携施設です。
NIPTの検査結果の判断や検査後の対応について倫理的に留意すべき課題があり、厚生労働省において実施医療機関・検査分析機関の検討がなされてきました。
検査の前後に専門医によるカウンセリングを行っております。
当院は出生前検査認証制度等運営委員会(日本医学会)にNIPT実施医療機関(連携施設)として認定されているクリニックです。
基幹施設である金沢大学附属病院と連携して対応しております。
全国のNIPT認定施設は、随時、PDFが更新されていく予定です。以下のサイトよりご確認いただけます。
[出生前検査認証制度等運営委員会(日本医学会)]
NIPT外来を担当する専門医
NIPTの費用
検査および遺伝カウンセリングは自費診療となり保険適用されませんので、ご了承ください。
費用につきましては以下のよおりです。
- カウンセリング料 ¥9,000(税込み)
- 検査料 ¥200,000(税込み)
計 ¥209,000(税込み)
なお、陽性または判定が続いた場合には、羊水検査によって検査結果を確定させることができますが、当施設のNIPT価格には、確定的検査の費用も含まれています (医療機関によって異なります)。
NIPT外来日
毎週火曜日 9:00~12:00 完全予約制です。
NIPT希望の妊婦さんへ
- 当院で妊婦健診を受けている妊婦さん
― 当院の担当医にご相談ください。 - 当院で妊婦健診を受けていない妊婦さん
― 母子手帳交付済の妊婦さんは、かかりつけの医療機関(産婦人科)担当医にご相談の上、当クリニックの予約受付に、直接または電話にてご予約いただけます。
ご予約手順
予約の際、妊娠10週~13週6日のうちに、NIPT外来を受診できるようご留意ください。
事前に以下の必要書類をお読みいただき、プリントアウトして検査当日は同意書と共にご持参頂けますよう宜しくお願い致します。
原則としてご夫婦(またはパートナーと)一緒にご来院下さい。
検査の結果が出るまでに、1週間程度を要します。
参考
小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー
MSDマニュアル
21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー
図 Thompson&Thompson Genetics in Medicine 8thEdition Saunders2016:Wellesley D.et al.Eur J Hum Genet 2012:20:521